不動産価格の深読み
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カテゴリー: 知って得する不動産のあれこれ
『失敗しない』『失敗したくない』住宅探しのポイント「物件価格 中級編」
2.「不動産の物件価格の仕組みを知る」という事。
不動産の価格には様々な呼び方と意味があります。
ここでは、新築一戸建てを前提に説明します。
1.「販売価格」
販売価格は定価です。売主が希望する物件の価格です。
販売価格の決定のしかたは、売主により異なります。
販売価格は物件の建物進捗状況と市場により一般的には値下がりします。
2.「購入希望価格」
販売価格に対し、お客様が希望する購入価格です。
購入希望価格は通常、販売価格より安くなります。
販売価格と購入希望価格の差が、値引き交渉金額となります。
3.「成約価格」
契約書に記載される、最終的に決定した価格です。
値引き交渉により売主・買主、互いに折合って成約した場合の価格です。
以上、お客様に最低知って頂きたい 3つの価格の呼び方と意味の他に、更に詳しくお伝えします。
4.「相場価格」
一定のエリアで現在・過去に供給された物件の販売価格の平均です。
相場価格には、個別物件のプラス要因やマイナス要因は反映されません。
個別物件の特徴により相場価格より高い場合や、安い場合があります。
5.「市場価格」
一定のエリアで供給された物件の成約価格を参考に市場動向を加味した価格
です。成約価格のデーターは一般に開示されていないため、最終販売価格からの
予測が必要となります。
6.「原価価格」
土地仕入金額・建物発注費・外構費・建築確認等の手続費用など、売主の利益
を、除外した全ての経費合計です。
原価価格より成約価格が下がった場合マイナス利益(赤字)となります。
その他、路線価格、固定資産土地評価額等不動産の価格を表記する、呼び方がありますがここでの説明は省きます。
※一般的に市場価格~原価価格に近い価格で成約できれば、お客様にとって喜ばしいことになります。よは、売主の利益を圧縮することが買主の利益になります。
新築一戸建ての売主(不動産会社)の心理を読み解く
売主(不動産会社)が販売価格を決定するプロセスを説明します。
1.売主が販売価格を決定する時は、
①原価価格+目標利益≒販売価格 ※当初の利益目標は上限設定です。
②原価価格+最低利益≒成約想定価格 ※利益目標は加減設定です。
※販売価格と成約想定価格の乖離が大きければ売れにくく、近ければ売れやすい結果となります。販売価格-成約想定価格≒利益の圧縮 ※値下げ準備金となります。
※成約想定価格は、自社の成約価格と市場価格より想定されます。
新築一戸建て(建売住宅)の場合、建物が完成してお客様が内見出来る状況になってから売れるのが約80%です。建物完成以前に購入される約20%の方は近所に住んでいる方など、特に立地限定で探されている方や、貴重性の高い好条件の物件を探されている方です。
また、完成した新築一戸建ては完成後約3ヶ月以内に、約60%程度は成約に至ります。
なお、完成後半年以内に、約90%程度は成約します。
全ての新築一戸建ては完成後1年以内に成約しています。
※新築一戸建ての場合、完成後1年経過すると新築では販売できなくなり。中古扱いとなり価格が暴落します。よって、完成したら出来るだけ早く成約したい心理が働きます。
※新築一戸建ての場合、建築期間は約3ヶ月~4ヶ月程度で完成します。
売主にとって、早く資金を回収して年3回転させたほうが有利です。
資金の回転率からも、完成時期を目処に成約したい心理が働きます。
このブログを書いている、平成31年5月13日時点で供給されている新築一戸建ては、
所沢市 175件 狭山市 65件 入間市 71件 合計311件
年間、新築一戸建ての場合供給ベースは3回転が基本のため、約933件が供給されます。
これら全ての物件が成約している、最も重要な要素は販売価格の値下げです。
需要(購入したいお客様)と、供給(販売したい不動産会社)のバランスを保つことができるのは、建築着工後は販売価格の値下げしかありません。
事例1
一般的に成約想定価格との乖離が大きい物件の値下げパターンをお伝えします。
●完成約1ヶ月前に初回の値下げ開始
●外観完成時に2回目の値下げ
●完成内見可能時に3回目の値下げ
●完成後約1ヶ月以内に4回目の値下げ
●以降随時値下げ
※問い合わせ数や、現地販売営業担当者からのヒヤリングや内見数で、値下げのタイミングと金額を調整しています。
※成約想定価格に近づくに連れ、値下げ準備金不足になり値下げ幅が縮小します。
事例2
売主や物件・時期によって、当初より成約想定価格に近い価格で売り出すケースをお伝えします。
●地元中心で成業している会社は、地元顧客や銀行の手前値引きを極端に嫌います
●決算時期が近く、売上数字を上げたい時
●次に計画している物件にシフトしたい時
●物件に自信がない時
●同一エリアに競合物件の計画がある時
※売主が地元の場合、目標利益額が当初より少ないため値下げ準備金がもともと少ないか用意されていません。
ここでお客様にとって重要なことは、
疑問① 「成約想定価格」≒「販売価格」になったら、適正価格と言えるのか?
疑問② 値下げを待っていれば希望する物件を適正価格で購入できるのか?
疑問①について
成約想定価格は、過去の成約価格事例と市場価格からの想定価格です。よって、成約する上での適正価格とは言えると思います。
※疑問②について
事例1については適正価格と言えますが、事例2については値下げしなくても適正価格の場合もあります。また、完成後約1ヶ月前後に初回の値下げを実施した時点が適正価格といえる場合もあります。
※2戸以上の新築一戸建てが建ち並ぶ物件を成約する場合、必ず以下の条文が契約書等に記載されます。
●●条 本物件は多棟数の分譲地にあたり、今後不動産市場動向等に影響を及ぼす経済・金融動向等の変化により分譲価格の見直しを余儀なくされる場合があります。万一見直しをした場合差額精算は致しません。
※究極的には、未来の成約価格(適正価格)は売主にも解らないという事です。
※お客様にとっても、最終的に希望する物件の交渉過程の中で「この物件・この価格なら」と納得し成約する価格が成約価格(適正価格)となり将来の成約想定価格となります。全て自己責任となるわけです。
お客様の『失敗しない』住宅探しのために、成約価格を少しでも適正価格に近づける努力も、私の務めと考えます。
『失敗しない』『失敗したくない』住宅探しは、『お客様のご家族の幸せ』を左右する一生に一度の大切なお買物です。拙いレポートですがご活用下さい。
お客さまの幸せを心から願っております。
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